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鉄道業界事例から学ぶ!事業横断マーケティングによる顧客エンゲージメント強化

複数の事業を営む企業の強みは、お客さまのあらゆる生活シーンをサポートできること。ところが同じ企業・グループ内であっても事業横断のマーケティング活動は難しい、とお悩みの企業さまもいらっしゃるのではないでしょうか。この記事では、複数事業・施設を横断したマーケティング施策を行っている鉄道業界の事例から解決策を紐解きます!

小林 洋之
株式会社NTTデータ ITサービス・ペイメント事業本部 SDDX事業部 マーケティングデザイン統括部 デジタルマーケティング担当 シニアスペシャリスト

会員・ポイント管理システムCAFIS Explorerの立ち上げをリードし、現在も最前線でお客さまへのご提案を行っている。システムのみならずお客さま業務にも精通し、顧客接点サービスから分析サービスまで、お客さまのロイヤリティを高めるためのサービスの初期検討から導入後フォローまで一気通貫で実施。

複数事業を営む企業だからこそできる、お客さまとのエンゲージメント構築とは?

人口減少が進む日本では、マーケティング施策の重要性は新規のお客さまの獲得から既存のお客さまとの長期的なエンゲージメント構築へシフトしています。この施策のひとつが、お客さまの行動データを基に趣味嗜好や行動パターンを紐解き、そのお客さまに合ったコミュニケーションをとることで信頼や愛着を感じてもらう、One to Oneマーケティングです。One to Oneマーケティングはすでに多くの企業が取り入れています。

その一方で、交通・運輸事業からショッピングセンター (以下、SC)、食品スーパーマーケット (以下、食品SM)、百貨店など、さまざまな事業を抱える企業ではそれぞれの事業でお客さまのデータを管理しているため、事業横断的なOne to Oneマーケティングができていないという話をよく耳にします。

複数事業を営む企業は日常の買い物や移動手段、娯楽施設まで、お客さまとのタッチポイントを数多く持っているため、本来であればお客さまのさまざまな体験をワンストップでサポートできるはず。にもかかわらず、「単に商品を購入してもらって終わり」「娯楽施設を利用してもらって終わり」では、お客さまとの接点が断片的になってしまい、せっかくの強みを活かしきれません。複数事業を営む強みを活かしてお客さまから選ばれる存在になるためには、お客さまのあらゆる生活シーンに寄り添い、グループの複数施設、事業全体でお客さまをサポートすることが重要です。

実際に複数事業を営む企業がどのように事業横断・施設横断のOne to Oneマーケティングを実現させているのか。鉄道事業から、沿線のSC、食品SM、百貨店といったグループ内の小売・サービス業までを束ねる小田急電鉄株式会社さま(以下、小田急)、複数SCを束ねるJR西日本SC開発株式会社さま(以下、JR西日本SC開発)の2つの事例をご紹介します。

小田急電鉄さま事例:「小田急ポイントアプリ」で次世代顧客の獲得とマーケ施策を改善

出典:小田急ポイントアプリ  https://www.odakyu-card.jp/app/

① 企業情報

会社名:小田急電鉄株式会社
事業内容:鉄道事業、不動産業、新宿ミロードやフラッグスを含む商業施設運営など

➁ 課題

小田急電鉄で提供している小田急ポイントカードでは、沿線人口の約25%のお客さまにご利用いただくなど多くの会員を獲得できている一方、会員の高齢化やデジタルチャネルへの対応遅れといった課題を抱えていました。加えて、会員とのコミュニケーション手段は、店舗での対面やDM、一斉配信のメルマガが中心となり、きめ細かなコミュニケーションが取れていませんでした。

③ 解決策

そこでまず取り組んだのが、小田急ポイントカードのアプリ化です。顧客データを一元管理し、蓄積したデータをもとに最適な施策を実施できるようになりました。

具体的には、「小田急ポイントアプリ」のデータを使用し、お客さまのセグメント、ステータス、ポイント利用状況に応じてメール、アプリプッシュ通知、ポップアップとそれぞれのチャネルを使い分け、適切な頻度とタイミングで情報をお届けすることで、お客さまごとにきめ細やかなサービスを提供できるようになりました。

④ 効果

「小田急ポイントアプリ」導入後、アプリ会員の平均年齢はこれまでの小田急ポイントカード会員全体の平均年齢から約10歳程度下がり、若者層を取り込むことに成功、次世代のお客さまを獲得することができました。

また、アプリを活用して適切な頻度とタイミングで情報をお届けできるようになった結果、これまでのDM施策と比較して反応率が大きく改善しました。

⑤ 今後の展望

今後は「小田急ポイントアプリ」をお客さまとデジタルプラットフォームをつなぐチャネルとして位置付け、お客さまごとの好みに合わせたクーポンを配信するなどさらにOne to Oneコミュニケーションを深め、小田急沿線住民の方の満足度を高める新たなサービスを提供していくとのことです。

テキストは⾃動で⽣成されます

テキストは⾃動で⽣成されます

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JR西日本SC開発さま事例:各SC横断の館回遊施策で来店機会を創出

出典:JR西日本グループ|WESPO(ウエスポ) https://wespo.westjr.co.jp/

① 企業情報

会社名:JR西日本SC開発株式会社
事業内容:ルクア大阪や天王寺ミオを含むショッピングセンターの運営・管理および開発

➁ 課題

「ルクア大阪」「天王寺ミオ」など、13あるそれぞれのSCが個別にポイントサービスを実施していたこと、そして、同じグループであるにもかかわらず施設ごとに名称が異なるため、お客さまがJR 西日本グループと認識しにくいという悩みもありました。

③ 解決策

この課題を解決するためにまず導入されたのが、新たな共通施策「WESPO(ウエスポ)」です。お客さまはWESPOのアプリに登録すれば、これまでどおり各SCのポイントサービスを利用でき、さらにそれぞれのポイントを共通ポイント「WESPO」に交換できるようになりました。

また、アプリにはお客さまのイベントの参加状況や行動に沿って、各 SCを横断した施策や開催予定のイベントをリコメンドする自動学習機能を搭載しました。

④ 効果

まず、この共通ポイントを通じて各SCがひとりのお客さまを認識できるようになったことで、お客さまの解像度があがり、お客さまに最適なコミュニケーションをとることができるようになりました。各SCを横断した施策や複数のSCに回遊いただくためのスタンプラリー施策を、購買データとリアルタイムで連携してアプリ内で実現できたため、各SC横断で回遊していただく来店機会の創出につながっています。

さらに、このアプリの導入により、各SCがそれぞれでアプリを構築しなくともお客さまとの新たな接点を設けられるようになったうえ、グループ・各SC双方から見て、施策展開のコストパフォーマンス向上が実現できました。

⑤ 今後の展望

これからのSCは、お客さまが「買うことを意識していない段階」と「買うことを意識する段階」において、お客さまの琴線に触れ、行動へと移していただけることが重要との考えを示しました。

現状(リアルな場)のSCにおいては、前者はマーチャンダイジングやゾーニングで、後者は販売員の接客・提案で対応している状況ですが、このような空間をオンライン上に構築した、OMOの実現に向けて取り組まれているとのことです。(2021年2月9日開催ウェビナーより)

テキストは⾃動で⽣成されます

テキストは⾃動で⽣成されます

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共通ポイントの導入により、お客さまの生活シーン全体をサポートする

小田急さまでは複数事業に対して共通ポイントアプリを、JR西日本SC開発さまでは複数SCに共通ポイントアプリを導入した事例をご紹介しました。共通ポイントの導入によって、お客さまからはさまざまな生活シーンにおいてグループ全体でサポートしてくれる存在として、より強く認識いただけるようになります。

また、企業にとっては、ポイントをきっかけに別事業のサービスをお客さまにご活用いただける、相互送客の新たな機会を創出する策としてご活用いただいています。いわば、共通ポイントが複数事業間の接着剤としての役割を果たしているのです。

一方で、共通ポイントの導入は簡単ではありません。異なる事業であれば購買単価も異なるため、ポイントの付与率にも影響します。また、普段関連のない別事業との制度統一は、たとえ社内であっても、関係者が多く異なる文化があるため、調整が難しいものです。これらの課題を超えるためには、羅針盤である経営戦略が重要になります。

NTTデータでは、経営戦略策定の議論からご支援可能です。もし事業横断ポイント共通化にお悩みの方がいらっしゃいましたら、ぜひお声がけください。

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