事例と成果

ブランド責任者必見!生活者トレンドを“先取り”した商品開発の秘訣とは?

市場の成熟と国内市場の縮小が進む中、企業は既存市場での競争だけでは大きな成長を期待することは難しく、新しい市場を創出していくことが求められています。企業が市場創出するためのアプローチは複数ありますが、中でも重要なアプローチの1つが「商品開発」です。

商品開発には一から新しい商品を開発するものと、既存の商品を改善していくものがあります。どちらの場合も、従来のコンシューマ向け商品開発では、生活者ニーズを理解するために、生活者インタビューなどの調査分析を経験豊富なマーケターが時間を掛けて実施していました。しかし、多様化し、急速に変化する昨今の生活者の嗜好・価値観・ニーズを捉えるには、従来の手法だけでは限界を迎えています。これからは人間の感性とデータやテクノロジーの分析力を融合させることで、生活者の解像度を高めて商品開発を推し進める必要があります。

今回は、SNSを通じて生活者データを分析しながらトレンドの兆しを発見し、その背景まで理解することで商品開発の業務をアップデートし、市場を創出するNTTデータの新しい取り組みを紹介します。

生活者インサイトの導出は重要であるものの、従来の手法では限界に

国内市場をみると市場は成熟し、人口は今後減少していきます。その中で企業は競合とシェアを奪い合うのではなく、新たな市場を創出してイニシアチブを取ることが求められています。これを実現するためのアプローチの1つとして、常に新しい商品を企画したり、既存商品をリニューアルすることで世の中に新しい価値を提供し続けていくことが重要だと捉えています。

市場創出のための切り口
市場創出のための切り口

もちろん、新商品開発や商品リニューアルが必ず成功を収めるとは限らず、成功確度を高める取り組みが合わせて不可欠となります。そのための手法は多岐に渡りますが、中でも特に重要なのが、生活者の多様化するニーズやインサイトを正しく導き出すことです。それを前提にアイディエーションを行い、商品コンセプトを作り上げるというプロセスを踏んでいきます。

しかしながら、デジタル技術が急速に進化する近年においても、このインサイト導出には依然として伝統的なアナログ型のマーケティング手法を用いることが主流です。生活者インタビューやエスノグラフィー調査などの伝統的な手法では、デジタルデータからは導くことが難しいとされる生活者の感覚や深層心理、行動の背後にある”なぜ”を導くために非常に有用だと考えられているためです。

しかし、これらのアナログ型の手法は、分析に時間が掛かることや調査できる人数や範囲が限られるといった課題があります。また、インタビューの回答や生活者の行動を分析してインサイトを導出するにはマーケティング担当者の「経験やセンス」が重要であるため、属人化しがちです。

このため、限られた人数のマーケティング担当者が従来型の手法を用いて、多様化している生活者のインサイトやその急速な変化を即座に捉えることが困難になりつつあります。

「検索型マーケティング」から「発見型マーケティング」へ

生活者のインサイトやニーズを読み解くために、多くの企業はソーシャルリスニングツールを用いてSNS上の多くの生活者の声を分析しています。しかし、このようなツールは、検索したいキーワードを起点に分析を行う使い方が多いため、知りたい情報を深掘りしていく点では有用ですが、「知らないモノ・コトは調べにくい」という弱点があります。

例えば、食品を手掛けている企業が自社の事業領域とは異なる、美容領域などの新しい分野に進出するために商品開発しようとしても、起点となるキーワードが分からなければ商品開発のヒントにつながる生活者トレンドを正しく特定したうえで分析ができません。

見方を変えると、このようなツールの活用方法やこれまでの手法では、マーケター自身が有する情報やアイデアから仮説を立てつつ、それに関連して自身が思いつくキーワードを検索し、生活者の声を見て仮説を検証するアプローチになりがちでした。

しかし、これからはSNSなどの生活者データから新しいトレンドの兆しや興味関心の移り変わりをいち早く見つけ、そこから新たな仮説を導き出すという「発見型マーケティング」のアプローチが重要になります。

検索型から発見型のマーケティングへ
検索型から発見型のマーケティングへ

生活者インサイトを発見し、商品を開発するプロセスをアップデート

NTTデータでは、上述した発見型マーケティングの考え方に基づき、SNS上データから生活者インサイトを真に有用な形で効率的に検出する技術開発に取り組んでいます。日本で唯一、国内におけるX(旧Twitter)の全量データを所有し、幅広い用途に活用できるNTT データならではの「リアルな市場の反応や生活者の声」が分かる技術です。

私たちの取り組みでは、Xなどの生活者データを起点に、さまざまなジャンルのトレンドの兆しを発見できます。新しく生まれてくるものも含め、常時、数千万のキーワード(モノやコト)をモニタリングしており、その結果を分類し、「食」「美容」「ライフスタイル」など数十以上のカテゴリごとに、現在トレンド化しているもの、これからトレンド化する兆候があるものを見つけることができます。

トレンド化する兆候の一覧
トレンド化する兆候の一覧

大きな特長は、トレンドとなっているアイテムをただ抽出するだけでなく、NTTデータ独自の自然言語処理技術や生成AI技術を組み合わせることで、トレンド化した背景を生活者の発言から導けることです。

たとえば「食」に関するトレンドの中で、北海道発で全国的に広がっている「締めパフェ(夜パフェ)」というトレンドに着目すると、「自分へのご褒美」や「職場の人間関係の強化」といった目的やシーンが見えてきたり、「お酒との組み合わせが良い」と評価されているなど、トレンド化の背景要素を抽出することができます。

生活者の発言からトレンド化した背景を分析
生活者の発言からトレンド化した背景を分析

さらに分析していくと、その中に「アナログな体験へのあこがれ」や「自分好みにカスタムできること」などが生活者のニーズとマッチしてトレンド化しているといったことまで深掘りしていくことができます。このようなトレンド発掘と背景の深掘りを行いながら生活者インサイトを紐解くことが商品開発において非常に有効だと考えています。

数カ月先のトレンド将来予測が可能

「生活者インサイトの発見」に加え、私たちが開発を進めている取り組みの中で、もう一つ重要なものがあります。それは「トレンドの将来予測」の技術です。

商品開発では、開発期間に数カ月を要すケースも多く、生活者トレンドが今後どのように推移するのかは重要なポイントです。トレンドをベースに開発した商品であるにもかかわらず、発売時にはブームが終焉してしまっては意味がありません。

先ほど「締めパフェ」を例に挙げましたが、これらトレンドアイテムの数カ月後の推移を予測する技術を確立しています。

締めパフェのトレンド予測
締めパフェのトレンド予測

「トレンド予測」のロジック概要としては、過去にトレンド化したアイテムの軌跡の波形との類似性や、KOL(Key Opinion Leader:キーオピニオンリーダー)などの影響力の強い人物の反応有無、発言のコンテクストなどのデータをもとに、数理モデルやAI技術を用いて予測します。このロジックで、現状3カ月ほど先までのトレンド予測を実現できており、さらに改良に取り組んでいます。

この技術は、企画段階にあるアイデアの商品化に踏み切るべきかを検討する際に、非常に有効だと言えます。トレンドが長く続くことが予測できれば、商品開発の意思決定をしやすくなります。

また、トレンドの将来予測は商品開発だけでなく、市場のニーズに合わせた売り場づくりにも活用できます。トレンド予測を踏まえて、仕入れや売り場づくりを実施することで売上が向上した成功事例もあります。

BtoC企業さまとともに新しい市場を創出していきたい

生活者データから「生活者トレンド」と「トレンドの将来予測」を導き出す技術は、生活者のインサイトを導き出し、商品開発のコンセプト案を創出するのに役立ちます。

今後、生活者のニーズがますます多様化していく中で、新しい価値を届けながら市場を創出していくためには、従来のマーケティング手法とデジタルを活用した発見型マーケティング手法の掛け合わせがより重要になっていくと考えています。

我々NTTデータは小売、消費財メーカーをはじめとするBtoC企業さまとともに、生活者の声を起点にトレンドとそのインサイトをいち早く捉え、新しい市場を次々に創出していきたいと考えています。提供サービスの詳細や事例に関する詳細をお聞きになりたい方は、こちらからお気軽にお問い合わせください。
また、サービス概要資料はこちらのお申込みフォームから入手いただけます。

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