数千万会員のポイント管理のシステムを 一新しCXのさらなる向上へ
ニトリグループは、「住まいの豊かさを世界の人々に提供する。」というロマン(志)のもと、ニトリ、デコホーム、島忠(*1)、N+(Nプラス)などの幅広い事業やネット通販サイト、そしてアプリを展開しています。同グループでは、数千万に及ぶ会員のポイント管理に「CAFIS Explorer」を導入し、CX向上に有効活用できる基盤を構築しました。今回は、ポイントシステム刷新プロジェクトの中心メンバーに当時の苦労やCAFIS Explorerを評価したポイントについてお話を伺いました。(*1 ニトリグループでは2021年に島忠を完全子会社化)
ポイントの“貯金箱”からCX向上に役立つデータ基盤へ
--「CAFIS Explorer」の導入背景として、どのような課題があったのでしょうか?
小向氏:ニトリグループでは、運営する実店舗と通販サイト(ニトリネット、シマネット)、さらにはアプリ「ニトリアプリ」で共通して使用できる会員サービスとして「ニトリメンバーズ」を展開しています。その会員数は数千万規模に及び、ニトリアプリだけでも2023年3月時点で1,600万人を超える会員様を擁しています。そうした会員様に付与するニトリポイントは、お客様接点の顧客体験(CX)を向上させるうえで重要な役割を担うツールです。
ところが、旧ポイントシステムは、オンプレミス型のレガシーなパッケージで、機能、性能の両面でニトリグループの店舗数(2023年3月期 国内902店舗)や会員規模、さらにはその拡大に適合しない仕組みとなっていました。つまり、そのシステムでは、CXの向上に向けてポイントデータを有効に活用するのが困難だったわけです。加えて、旧ポイントシステムの保守サポート期限も迫っていたことから短期間で全ての社内関連システムを新ポイントシステムに対応させる必要もありました。そこで、汎用的な設計で接続性の高いインターフェースを持つクラウド型の「CAFIS Explorer」によってポイントシステムを一新し、その機能、性能を一挙に高めようと考えました。
--CAFIS Explorerを選んだ決め手についてお聞かせください
大塩氏:サービス選定においては、CAFIS ExplorerのようなクラウドベースのSaaSや導入型のパッケージ製品、POSレジとの親和性の高い製品など、いろいろな種類の製品調査からはじめ幅広い検討を致しました。また、弊社は古くから社内システムの内製化を得意としており、当然ながら本プロジェクトにおいても内製開発が有力候補でもありました。
その上で、CAFIS Explorerを選んだ最大の理由は、このシステムを使えば事業の変化、拡大に柔軟に対応できると判断したからです。CAFIS Explorerには、数千万会員の数億に上るポイントデータの管理に対応できるキャパシティと拡張性があります。また、標準で備わっている機能も豊富なほか、APIなどを介して基幹の販売管理システムやPOS、通販サイト、アプリなど、さまざまな外部システムと容易に連携でき、弊社独自のカスタマイズを抑えられることを評価しました。こうした拡張性は、今後のM&Aや事業拡大に対応していくうえで不可欠な要素であると見なしました。
小向氏:さらに言えば、ポイントシステムは強固なセキュリティによって守られている必要があり、かつ、お客様による買い物体験に支障をきたさぬよう、365日24時間の安定稼働が必要とされます。ゆえに、ポイントシステムの高い可用性を支えるNTTデータ様のサポート体制や高度なセキュリティ管理、データバックアップ体制も高く評価しました。
--CAFIS Explorerによるポイントシステム刷新で具体的に何を目指したのでしょうか。
山下氏:CAFIS Explorerの導入で目指した1つは、ポイントシステムについて365日24時間の安定稼働をしっかりと確保することです。旧システムは夜間運用を行っておらず、通販サイトやアプリではポイントシステムとは別にポイントデータ管理の仕組みを独自に持ち、会員様による夜間の購買に対応していました。
そんな中で、お客様による通販サイトやアプリの活用が活発化し、アプリ会員も月20万人のペースで増え続けています。そうした“デジタルコマース”の勢いに対応し、一層の拍車をかけるには、365日24時間安定して稼働するグループ共通の単一のシステムが必要でした。
小向氏:大きな目標はCAFIS Explorerの導入によって、CXの向上につながるさまざまなポイント施策を柔軟に打てるようにすることです。ただし、その目標を追求する前段として、これまで出来ていたことを確実に行えるようにすることと、システムの安定稼働を確保することが重要でした。言い換えれば、次のステップにつながるポイント管理の基盤をしっかりと作り上げたかったわけです。
この目標に向けて、旧システムとCAFIS Explorerベースの新システムを並行稼働させ、新システムの安定稼働を確認したときに新旧の切り替え行うといった、相当の手間と技量を要求する取り組みをNTTデータ様に行ってもらいました。結果として、NTTデータ様は私たちの要望をすべてクリアし、当初の予定よりも1カ月以上短い約11カ月間でポイントシステムの刷新作業を完遂させ、2023年10月からの本番運用に至っています。
NTTデータがニトリグループの期待、要求にこたえられた理由とは?
藤田:今回のプロジェクトは、多数の外部システムとの接続や膨大な数のデータ移行を伴うシステム刷新の取り組みです。それを1年以内に完了させるハードルは高かったのですが、それでもニトリ様のご要望どおりのシステムを、予定より早く実現できました。
その理由は、CAFIS Explorerの土台として、日本最大級のキャッシュレス決済ネットワーク「CAFIS」の開発・運用で培ってきた技術力をはじめ、ポイント管理に関するさまざまなベストプラクティス、さらには、ポイントシステムに関するNTTデータの豊富で高度な知識があるためです。それゆえに、今回のプロジェクトでも、ニトリ様向けのカスタマイズ開発を必要最小限とし、ニトリ様の要件に合致したシステムを早期に実現できました。
今後は、CAFIS Explorerの拡張性を活かしながら、ニトリ様によるCX向上の取り組みに貢献していきたいと願っています。
青島:今回、CAFIS Explorerへのシステム移行で最も時間と手間を要したのは、通販のニトリネットでした。というのも、ニトリネットにおけるポイント管理の仕組みと業務は特殊性が高いうえに、多くの組織がその業務プロセスに複雑にかかわっていたからです。そこで、ニトリ様に理解と協力を仰ぎ、CAFIS Explorerの機能に業務プロセスをフィットさせる方式を採用いただき、重点課題であったニトリネットのポイント運用について早期に解決することができました。
山下氏:先にお伝えした通り旧システムが夜間非稼働となる仕組みであったため、24時間稼働のニトリネット・シマホネットでは夜間用に二重管理する独特な仕組みでした。二重管理をやめて統合管理することは、システム影響も大きく難易度の高い課題であったため、刷新が完了した後に切り分けて行う予定だったのですが、NTTデータ様の提案により前倒しで検討が進み、今回対応することができました。これにより、以前まではお客様が夜間帯に新規会員になった場合、ポイントの確認ができるまでには一定の時間を必要としておりましたが、切替後からは即時に確認ができるようになる等、ニトリネットでのお客様体験も向上させることができました。
塩沢:藤田が触れたとおり、柔軟な拡張性はCAFIS Explorerの大きな強みです。今回、旧システムからCAFIS Explorerへの移行を進める中でも、新システムの性能改善が必要とされる場面に突き当たったのですが、そうした要求に都度速やかに対応することができました。
小向氏:ニトリのポイントシステムが持つデータ量は膨大です。数千万もの会員情報、数億ものポイント履歴をスムーズに、かつ整合性を担保した状態で安全かつ確実に移行する方法が大きなテーマでした。NTTデータ様とは遠慮することなく両者の移行案をぶつけ高め合い、何かを諦めたりすることも、ポイントサービスを停止することもなくほぼ完璧な形で移行を進められたことは印象的です。
--CAFIS Explorerによる今回のシステム刷新をどう評価されていますか。
大塩氏:現時点(2023年11月時点)ではCAFIS Explorerの基本機能しか使っていませんが、それでも、旧システムに比べてポイント管理のしやすさが大幅に上がり、事業部門がポイントの動きをとらえたり、欲しいポイントデータをシステムから抽出し、マーケティング施策に生かしたりすることが容易になりました。また、品質面に関しても切り替え後からこれまで大きなトラブルなく運用できております。現在も、ニトリポイントのさらなる進化に向けて検討中です。
小向氏:CAFIS Explorerの採用は、ポイントシステムの機能的な改善に加えて、システム運用をNTTデータ様に安心して任せられるという大きなメリットを生んでいます。また、私たちのポイントプロジェクトを一緒に推進してくれているNTTデータの皆さんは、本当にプロフェッショナルで、ポイント管理の技術、業務に精通しています。そのことが機能・性能の拡張性に優れた新ポイントシステムの早期実現に寄与したと見ています。NTTデータ様にはこれからも、CAFIS Explorerによるポイントシステムの変革と新たな基盤づくりにご協力していただきたいと望んでいます。
<お客様基本データ>
会社名 株式会社ニトリホールディングス
本社所在地 札幌市北区新琴似七条一丁目2番39号
代表取締役社長 白井 俊之
設立 1972年3月
資本金 133億7,000万円
主な事業 家具、アパレル製品などの企画、製造、物流、販売(小売)
新着記事を探す
キーワードから記事を探す
- #キャッシュレス
- #ソーシャルメディア
- #スポーツ
- #OMO
- #CRM
- #顧客ロイヤリティ
- #顧客エンゲージメント
- #One to Oneマーケティング
- #ポイント管理
- #顧客管理
- #カスタマーエクスペリエンス
- #デジタル店舗
- #人手不足
- #レジ無し店舗
- #ウォークスルー店舗
- #デジタルマーケティング
- #デジタルトランスフォーメーション
- #お客様コミュニケーション
- #チームビルディング
- #データ活用・分析
- #プラットフォーマー
- #エコシステム
- #ワークショップ
- #お客様接点
- #Microsoft
- #CAFIS Explorer
- #デジタルビジネス
- #ビジネスデザイン
- #サービスデザイン
- #振り返り記事
- #DX人材育成
- #NRF2020
- #NRF2023
- #ニューリテール
- #ポイントサービス
- #UXデザイン
- #リアル店舗
- #在宅勤務
- #テレワーク
- #働き方改革
- #遠隔接客
- #アフターコロナ
- #ウィズコロナ
- #CoE
- #SEO対策
- #UI改善
- #Web広告
- #テクノロジ・トレンド
- #ロボット活用
- #消費行動
- #アジャイル
- #ビジネスデザインスプリント
- #インフルエンサー
- #XR
- #VR
- #AR
- #MR
- #AI
- #アジャイル開発
- #プロダクトオーナー
- #アドテック東京
- #ビジネスフェア
- #BtoBオウンドメディア
- #異業種連携
- #銀行代理業
- #AI・IoT
- #医療・ヘルスケア
- #フードテック
- #パーソナライズ
- #リテールテックJAPAN
- #V-BALLER
- #プロダクトマネージャー
- #メンタリング
- #サービス共創
- #ギャンブル依存症
- #社会課題解決
- #Athena
- #マーケティングROI
- #MA
- #SCビジネスフェア
- #用語解説
- #組織変革
- #Marketing
- #奥谷孝司
- #マーケティングの新しい基本
- #顧客時間
- #VivaTech
- #メタバース・NFT
- #D2C