サービス&チャレンジ

【後編】AI×CXが日本企業を変革する~効率化だけじゃない。DXアクセラレータが体験価値を向上する~

前編では、日本企業がDXを推進するための舵となる「DXアクセラレータ」の開発秘話を紹介しました。後編は、実際に「DXアクセラレータ」を開発し、クライアントへの提案活動を担当するメンバーの鼎談です。ABEJAのマーケティングチームリーダー夏目萌さん、ネットイヤーグループのプロジェクトマネージャー中路翔さん、プロデューサー守口大貴さんが、「DXアクセラレータ」をどう活用していくか、語り合いました。

夏目 萌
株式会社ABEJA  PaaS Div  Marketing Leader
2012年、リクルートに入社。経理部を経て人事部で制度企画、労務、IT関連の新卒採用を担当。AIエンジニアの採用担当だったときにAIのテクノロジーの革新性に惹かれ2016年、ABEJAへ。入社直後から同社初の海外事業立ち上げを担当、現在に至る。

中路翔
ネットイヤーグループ株式会社 カスタマーエクスペリエンス事業部
ビジネスグロースチーム チームマネージャー 
2015年よりデジタルマーケティング支援のネットイヤーグループ株式会社にて、企画営業から開発ディレクションまでを経験する。某大手出版会社のECサイト構築のディレクションや外資系製薬会社のデジタルマーケティングの保守運用支援を担当。
直近の実績では、外資系大手コーヒーショップの会員向けサービスの導入、大型プロモーションのシステム構築、不正取引対策システム導入、セキュリティ改善・可用性向上プロジェクトなどの開発のプロジェクトマネージャーとして従事。

守口大貴
ネットイヤーグループ株式会社 カスタマーエクスペリエンス事業部 
アカウントリレーションチーム2 プロデューサー 
2014年に大手SI会社に入社後、クレジット決済をはじめとした多様な決済手段を扱う決済プラットフォームの営業担当として、大手流通小売業を中心にさまざまなクライアントを担当。
単なる決済サービスの導入だけでなく、POSレジ開発や基幹システムの開発を含めた大規模プロジェクトのディレクションに従事。2020年、ネットイヤーグループ株式会社に参画。

AIの価値を最大限に活かすには、CX/UXでのデザイン(設計)が必要

――まずは、DXアクセラレータの価値を簡潔に伝えてください。

株式会社ABEJA 夏目 萌
株式会社ABEJA 夏目 萌

夏目さん:企業が変革したい業務に対して、CX/UXの観点とAIの観点から、効果を最大化するための仕組み・スキーム作成を支援するサービス。それがDXアクセラレータです。

中路さん:AIは、実現したいCX/UXのための手段だと思っています。企業の横断する部門のコミュニケーションをつないで、ビジネスに最もいいかたちでAIを親和させるようにするのが、DXアクセラレータの価値なのでは。

夏目さん:AIができることをわかりやすく伝えると、目や耳の代わりとなって、画像や文章を読み取ったり、意味を理解したりするところにあります。簡単な判断はできるけど、複雑な判断はできない。それが今のAIのステータスです。企業のバリューチェーン上どこにAIを適応すると最も経営にインパクトがありそうか、普段からお客さまに進言しているのですが、CX/UX観点でみたときの企業のバリュー最大化、ビジネス価値の向上という観点は、私たちは持っていません。ABEJAが普段から支援している業務効率化のためのAI活用と、ネットイヤーグループが支援しているCX/UXを組み合わせて、業務のプロセス設計から支援することで、業務の効率化を実現します。さらに、それ自体が付加価値やサービス、事業になる支援ができるのではないかと考えています。

守口さん:CX/UXの観点で仮説をつくるところが、DXアクセラレータの特徴の一つだと思います。AIが出した答えをエンドユーザーとの接点にどう活かしていくか、ウェブなのか、アプリなのか、店舗設計なのか、方法も内容もさまざまだと思いますが、何を使ってどう届けるかデザインできるのが、DXアクセラレータのメリット。ネットイヤーグループが仮説を立てたうえで、AI側をABEJAに連携すれば、人が分析するよりはるかに精度は高いと思います。さらに、そこで分析した情報・結果をもとに、さらなる改善案をネットイヤーグループがお客さま企業と共に設計する、そうしたサイクルをネットイヤーグループ・ABEJAとお客さま企業みんなで回せるところが大きな価値なのではないでしょうか。

どこかの部門の業務効率化だけでは意味がない

――具体的に、どのように活用できるのでしょうか。

ネットイヤーグループ株式会社 中路翔
ネットイヤーグループ株式会社 中路翔

中路さん:小売業の例を挙げると、店舗に置く商品、何をどれだけ発注するかを、経験や勘に頼って決めている企業はまだまだ多いと思います。今期のインフルエンザは影響するか、新型コロナウイルス感染症がどう影響するか、そうした条件をあてはめた詳細な予測については、人がするには限界があり、属人的になっている部分があります。そこを、AIが得意とする推論・予測という領域で活用すれば、在庫を最適化するだけでなく、この店舗に今お客さまが行くと、待たずにすぐに入れるというところまでデザインできる。AIの機能を小売りの体系に昇華することで、売り上げの向上、お客さまの体験価値が向上するところまで、一緒に描けると考えています。

――在庫の最適化だけでなく、お客さまの体験価値まで変えられるのでしょうか。

中路さん:例えば、このお客さまがこのタイミングで来店するかもしれない。そこまで予測できると、お客さま一人ひとりに対して、最適なサービスを提供できるのではと思います。

どんな情報を取得すればAIが最適な情報を返してくれるか。さらに、アプリかLINEかSNSか、コミュニケーションもセットで考える必要があります。めざしているのは、どこかの部門だけ業務効率化できました……ということではありません。企業もお客さまも、全体がハッピーになる状態をつくれれば、どんな会社にも受け入れられると思っています。

オンラインとオフラインをつなげるために

――そのほかに、DXアクセラレータをこんな風に活用したいというアイデアはありますか。

ネットイヤーグループ株式会社 守口大貴
ネットイヤーグループ株式会社 守口大貴

守口さん:最近はOMO(Online Merges with Offline)をやりたいという企業が多いのですが、どうすればECとリアルを行き来してもらえるか、CX/UXの観点で仮説を立てて、AIで分析すれば、おもしろい発見がありそうですよね。

夏目さん:ABEJAには、「ABEJA Insight for Retail」という、来店時の動画像から来店者の年齢、性別、動線などを解析できるサービスがあるのですが、それにオンラインデータを組み合わせることで、買わなかった人がなぜ買わなかったのかなど、仮説を立てて分析することもできますね。他にも、ダイナミック・プライシング、在庫最適化、マーケティングオートメーションやレコメンデーションへのデータ活用などの支援をしていますが、部分最適に留まり、全体をデザインしていない場合もあるので、そこをネットイヤーグループと一緒に支援できるといいですね。

守口さん:小売業や飲食業だけでなく、金融業でも活用できますね。特に銀行は、年齢や性別などの顧客情報、預金額や取引額などの口座情報を持っているので、それらを分析すればお客さまに付加価値のあるサービスを提供できるのでは。例えば、電気や水道など公共料金の引き落とし額が他の月より高くなったら、案内をアプリ経由で出したり、毎月一定の預金をしているお客さまに金融商品をレコメンドしたりと、さまざまな活用方法が考えられます。

夏目さん:お客さまに最適な価値体験を届けるにはCX/UX観点が重要だし、お客さまに対して1to1に最適な商品を届けるロジックはAIで作ることができる。そこは小売業や証券会社だけでなく、D2Cをやっているメーカー、さらにメディアなどでも考えられます。ホテルのダイナミック・プライシング、採用領域でも活用できますね。

守口さん:採用領域に近いのですが、大学受験にもDXアクセラレータが活用できると考えています。筆記試験で学生を選んでいる大学がまだ多いと思いますが、大学に適した学生を選ぶには、もっと別の観点もあるはず。学生も、入学前の理想と入学後の実態のギャップはなくしたいですよね。例えば、在校生の情報や卒業後に活躍するOB・OGの情報から、大学に適した学生の傾向を分析し、入学審査に活用するのはどうでしょう。また、こうした大学の取り組みを高校生に向けて情報発信することも重要です。両者の接点となるインターフェースを整えるのもネットイヤーグループの役割だと思います。

AIを育てるというスタンスが、CX/UXとの連携を可能にした

中路さん:レコメンドツールは世の中にたくさんありますが、既存のツールは行動ログなど、一部のデータを使っているだけです。部門を越えて、データの種類を増やすことで、より優れたツールになるわけで、そこを一気通貫でつくっていけるのがDXアクセラレータのメリットです。ABEJAの強みであるPoC(Proof of Concept)を本番と同様にまわして、AIの精度を上げていくというアプローチは、これまでPoCで成果がなかった企業にもささると思います。

夏目さん:ABEJAとネットイヤーグループ、こうしたかたちのタッグって、これまでなかったかもしれません。今の多くの企業におけるAI導入の方法は、AIの精度が上がるまでPoCをして、やっと本番に耐える精度になったときに本番環境でやりましょうということが多いんです。でもABEJAは、ある程度の精度が出るようになったら運用をスタートし、デジタルデータを蓄積、再学習に回すことでAIを継続的に育てていくことを推奨しています。こうしたスタンスをとっているからこそ、本番環境でウェブサイトをつくって、UXを改善するというネットイヤーグループとのタッグが実現したのでは。これまでと別のアプローチで支援することで、大きな価値が発揮できると思います。

中路さん:私たちにしても、マーケティングで留まっていた世界から脱して、パワーアップできると考えています。例えば、これまで“AがよかったBが悪かった”で終わっていたABテストも、AIのフィードバックを加えて改善ができるって大きいですよね。DXアクセラレータでAIとCX/UXがつながることで、可能性は無限に広がると思います。

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