サービス&チャレンジ

【イベントレポート】レジ無し店舗に学ぶデジタルトランスフォーメーションへの挑戦

「NTTDATA Innovation Conference 2020」講演レポート!レジ無しデジタル店舗「Catch&Go」を手掛ける風間さんが、これまで取り組んできたテクノロジーの見定めやビジネスへの適合の試行錯誤を通して、デジタルトランスフォーメーションへの挑戦について語りました。デジタルトランスフォーメーションに取り組むすべての方、ぜひご覧ください!

NTT DATA Innovation Conference 2020とは?

会場の雰囲気

NTT DATA Innovation Conferenceは、今年で12回目を迎えるNTTデータ主催のカンファレンスです。今回のテーマは「Accelerating Digital -デジタルで創る未来-」と掲げ、NTTデータの考えるデジタル時代の企業変革やイノベーション創造について、30以上のセッションや展示をお届けしました。

NTT DATA Innovation Conference2020

企業のビジネス変革を創造する!Catch&Go誕生のきっかけ

講演の冒頭、風間さんは「Catch&Goの誕生はこれまでのNTTデータの仕事の進め方とは違うチャレンジだった」と切り出しました。

「私たちは、Catch&Goをつくってください!とお客様から言われてつくったわけではありません。NTTデータに対する印象は、『お客様の要件に沿ったシステムを安定して開発している集団』という方も多いと思いますが、私たちは、『一歩先のテクノロジーを見定めて、企業のビジネス変革を創造する集団』を目ざしています。そのビジョンをリードする集団としてSDDX事業部が誕生し、その活動の中で生まれたのが、Catch&Goです。」(風間さん)

NTTデータ ITサービス・ペイメント事業本部 SDDX事業部 サービスデザイン統括部 部長 風間 昭男氏
NTTデータ ITサービス・ペイメント事業本部 SDDX事業部 サービスデザイン統括部 部長 風間 昭男氏

一歩先のテクノロジーを見定めて、企業のビジネス変革を創造する―このようなビジョンを掲げ、デジタルトランスフォーメーションに取り組む企業は多いのではないでしょうか。一方、実践にあたってどのようなチャレンジが待ち構えていたのか、Catch&Go実現までの道のりを振り返りながら、講演の中で段階的・具体的に紐解かれていきます。

Catch&Go実現までの道のり-経験の無い領域へのチャレンジ

爆発的なテクノロジー進化から一歩先を学ぶ

「まず取り組んだことは、時代の変遷を理解し、今の具体的な実像(兆し)をつかむことです。通信速度の爆速化による5G時代の突入や、AIの進化を理解すると、『店舗自身がセンサーとなってデータが取得され、“学習・進化”する店舗運営へいくはず』という仮説にたどりつきます。海外事例からその仮説がビジネスとして成立することを確認できたことによって、『レジ無しデジタル店舗』というフォーマットがコンビニ店舗の新たな型となり得るという点で、私たちが取り組むべきチャレンジである、と認識しました。」

時代の変遷を理解し今の具体的な実像(兆し)をつかむイメージ図
時代の変遷を理解し今の具体的な実像(兆し)をつかむイメージ図

つまり、爆発的に進化(≒性能が向上)するテクノロジーに着目し、自分たちが取り組む対象(ここでは売り場)をそのテクノロジーがどう変えていきそうか仮説を立てることが重要とのこと。そして、世界中のスタートアップからその仮説を裏付ける事実を学び取ることで、一歩先の未来に踏み出せる、と風間さんは説きます。

「実現できそう」だけでなく「勝負できるか」でテクノロジーを見定める

次に考えることは「デジタルテクノロジーの見定め」です。ただ、その見定め方には単なる実現性の評価だけではないポイントがあるとのこと。

「NTTデータはフルスクラッチもできる会社ですが、新たなテクノロジーについてはビジネスの本流となるかの見定めが重要です。世界では最新テクノロジーがビジネスの本流である場合、スタートアップが多く起業する傾向にあります。例えば、Amazon Go的なレジ無しデジタル店舗モデルは2018年では1社でしたが、現在はAmazonと違うテクノロジーで実現しようとしている企業が数多く生まれています。この傾向から、ビジネスの本流であり実現可能なサービスであることが伺えます。」

「また、レジ無しデジタル店舗の実現には、複数のスタートアップ企業のテクノロジーが必要となります。その際、できそうなモノを選ぶのではなく、今ならこのテクノロジースタックで勝負し、お客様にサービスを提供する、という時代やインダストリーを見極めたテクノロジストとしての判断が極めて重要です。そのためには世界を広く見る必要があり、NTTデータではグローバル含む全社リソースを使って調査を進めています。」

企業のビジネス変革に寄り添うために、自ら店舗をつくる

テクノロジーの進化から世の中の変化を見極め、それがビジネスの本流となるかを見定める、その上で作るものは単なるシステムなのでしょうか。風間さんは「企業のビジネス変革を創造する」という講演冒頭のビジョンに立ち返り、最も難しかったチャレンジについて説明します。

「私たちは今回、システムをつくったわけではありません、「自ら店舗をつくる」ことにチャレンジしました。私たちは、お客様企業の悩みをともに解決していきたいと強く思っています。そのためには、私たちも一歩踏み出さないといけないと思いました。ご要望通りに安心安全にソフトウェアを作り上げることだけではなく、自ら先行投資を行い、“店舗をつくること”に挑んだのです。」

自ら店舗をつくるチャレンジイメージ図
自ら店舗をつくるチャレンジイメージ図

Catch&Goを、「レジ無しデジタル店舗ソリューション」ではなく、「レジ無しデジタル店舗出店サービス」としたことには、こうした想いが込められています。自ら店舗をつくるという今までにないチャレンジを、世の中のトレンドに合わせたスピード感で取り組む-実際に実験店舗を5か月で作り上げた中で感じた課題と試行錯誤について、講演で挙げられたポイントをいくつか紹介します。

・ビジネスとテクノロジーをいったりきたり......Meetさせられるチカラが重要!
テクノロジーの壁を解消したと思ったら、今度はビジネス(お客様企業にとってのビジネスも含む)の壁にぶつかり、そしてまたテクノロジーの壁......と、いったりきたりだった。どちらか一方の視点だけではなく、両方を考えMeetさせられるチカラが重要。

直面する課題イメージ図
直面する課題イメージ図

・慣れない作業も多数経験......店舗設営の苦労を理解!
店舗の内装デザインから棚や柱の設置、店舗レイアウトを考慮した電源やLANの配線まで手掛け、慣れない作業で苦労する点も多かった。実際の店舗設営の苦労を、身をもって理解することができた。

・初の試みゆえのメンバーの不安......動くモノを早期につくる!
NTTデータとして初の試みが多く、自分たちの進め方が正しいのか不安に思うメンバーもいた。だからこそ、動くモノをいち早くつくり、いかに私たちがイノベーティブで世の中のためになるモノをつくっているのかを実感することが重要だと考えた。さらに“日本で最初”ということも重要視した。「一番!最初にやった!」というプライドが次の企画のエンジンにもなる。

使っていただくために-体験型ワークショップの企画・開催

こうして生まれた「Catch&Go」の実験店舗。当社のお客様企業にとっても触ったことがなく、自らのビジネスにどう導入・活用していくか定かではない段階から考えていくためのプログラムとして、体験型ワークショップを企画・開催しています。

2019年9月の発表以降、既に数多くの企業のみなさまにこのワークショップを体験頂きました。経営層の方から現場担当者の方まで、幅広い実業のプロたちと未来の店舗の在り方をディスカッションできたことによって、「未来を共創することの重要性を改めて感じた」(風間さん)とのこと。システム提供をゴールとせず、企業のビジネス変革創造までを掲げたからこそ、一歩先の未来が実際に見えてきています。

ワークショップイメージ図
ワークショップイメージ図

さらに、労働力不足の問題解消のための店舗モデルとして、国の検討委員会でも取り上げられるなど、企業のビジネス変革に留まらず、社会課題の解決にも貢献しつつあります。

理想と現実をMeetさせる力-私たちのチャレンジとスタンス

今回のチャレンジを振り返って感じた想いについて、風間さんから最後に改めて力強いコメントがあり、講演は幕を閉じました。

「私たちは今回、店舗をつくることにチャレンジしました。これからは『理想を(語るだけでなく)実現・提供できなければダメ』が求められるはずです。理想を現場に落とし込み、従業員、消費者であるお客さま、さまざまな視点の方が納得感のある形をつくる『理想と現実をMeetさせるチカラ』が重要になってくるのではないでしょうか。Catch&Goを通して、私たちが『自らチャレンジしている会社』に進化していると認識いただけますと幸いです。」

私たちの進化と共に、サービスも進化しています。Catch&Goは、2020年1月に「顔認証入店」と「店舗在庫と連携したダイナミックプライシング」の導入を発表、さらなる進化を続けています。

顔パスで買い物!レジ無しデジタル店舗出店サービス『Catch&Go™』がさらに進化

また、Catch&Goと同じようなチャレンジを経て、ハイタッチ接客の労働力不足解消に着目したサービスも開発中です。こちらの記事もぜひ併せてご覧ください。

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