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Twitter全量データから考察する、新型コロナ5類移行後のマスクへの期待・課題

新型コロナウイルス感染症は2023年5月8日から季節性インフルエンザと同じ5類に移行することになりました。本記事では、コロナ禍が一定の落ち着きを見せてきた中、生活者のマスクに対する意識の変化や今後のニーズについて、Twitterユーザーの声をもとに簡易的な分析を行ってみました。

マスクは外したい!?ツイートの傾向から本音を読み解く

コロナ禍を経てマスクが当たり前になったいま、生活者はマスク着用についてどのような関心をもっているのでしょうか。今回はNTTデータが提供しているTwitter分析サービス「なずきのおと」を使って、マスクについての投稿(ツイート)から生活者の本音を考察してみました。

まずは生活者がマスクについてどの程度関心を持っているのかをつかむために、新型コロナウイルス5類移行がニュースになった時期(2023年1月中旬~2月中旬)に、マスクについてどれほどつぶやかれているのか見てみます。

マスクについてのツイート量 ※1

リツイートを含まないツイート件数(オーガニック件数)を見ると、1日平均5万件程度で推移していました。マスクについての関心は常に高いことがうかがえます。

中でも5類移行やマスクの着脱についてニュースで取り上げられたとき(1/19と2/10。上記図内の丸囲み部分)は、ツイート数が大きく伸びていました。マスクをこのままつけ続けるのか、そろそろ外すのかについて関心が大きく集まっていることが予想されます。

マスクを外す、外さないに関するツイート量 ※2

マスクを外す、外さないに話題を絞ってツイートを抽出してみると、1日平均7千件程度で推移しており、一番多い日には1万6千件ものツイートがされていました。

では、マスクを外すかどうかについて、ツイートをした方はどう考えているのでしょうか。マスクを外す・外さないという話題のツイートの中で、どのような単語が頻出しているのか見てみることで生活者の考えを紐解いていこうと思います。

頻出単語ランキング ※3

単語頻出の結果を見てみると、多くは“私”や“自分”を主語に語っていることが分かります。ここから、世間の流れというよりも自分の判断でマスクの着脱を決める人が多いのではないか、と仮説を立てることができそうです。

そこで、“私”や“自分”を含むツイートだけに絞って単語の頻出を見てみました。

頻出単語ランキング ※4

ランキングの1~4位には特徴的な単語は出てきませんが、5位には”顔”という単語がランクインしています。そこで、”顔”という単語を含む実際のツイートを見てみると、「顔を隠したいから外したくない」という声が多数見つかりました。

  • 自分の顔嫌いすぎるマスク常に外せない
  • マスクつけるor外す 私は絶対外さない自分の顔嫌いなんで
  • マスク来月中旬から外して良いとはいえ自分の顔にまっっったく自信がないので春先は電車内とかはマスクしてそう知らんけど
  • コロナ禍の前に知り合ってた人は私の顔全部知ってるから見せられるけど、コロナ禍以降に職場に入ってきた子とかには私の顔下半分見せてないからマスク外したくない💦あと鼻と口がコンプレックスだからマスクずっとするかな。

ツイートの内容を見るとマスクを外すことをためらう人はまだまだ多くみられます。実際に4月に入っても街中ではマスクをしている人が圧倒的に多い状況です。こうしたことから、今後いきなり全員がノーマスク生活に戻るという可能性は高くはなさそうです。

オススメツイートからマスクへのニーズを探ってみる

先ほどの簡易分析で、マスク生活がもう少し続きそうな状況が見えてきました。そこで次は、マスクのニーズとして何が求められているのかを分析しようと思います。

今回は“どのようなマスクにニーズがあるのか”に着目するため、生活者が着けたいマスクについてのツイートを抽出していきます。ただ、マスク×着けたいというワードで抽出すると、マスクの着用意向(着けるか・着けないか)のツイートが多数抽出されることが予想されます。そこで、マスク×オススメでツイートを抽出することで、生活者が着けたいマスクのニーズを明らかにしようと思います。

頻出単語ランキング ※5

マスク×オススメのツイートを抽出したところ、素材やサイズ、呼吸のような“機能性(青)”に関するワードと、形状や色、あるいは小顔と言った“ファッション性(赤)”に関するワードが多くつぶやかれていることが見えてきました。

ちなみに筆者の私は近くのドラッグストアで一番安いマスクを買う派なので、コスパ関連のワードもランクインしているのではと予想していたので、“安い”“高い”などのワードが入っていないのは少し意外でした。

もう一つ、別の切り口でマスク×オススメのツイートを分析してみましょう。今回利用している「なずきのおと」には、ツイート文に含む単語に対して良い・悪いという印象を判別する「感性分析機能」があるので、そちらを使ってより生活者が感じるマスクへの印象をつかみたいと思います。

感性分析対象となる単語ランキング ※6

こちらのランキングを見てみると、好評の欄には“カラー”“血色”のようなファッション性に関する単語が、不評の欄には“肌トラブル”“肌荒れ”のようなマスクを着ける際のデメリットに関する単語がランキングに入る傾向にあるようです。

ツイートからマスク肌荒れの改善ヒントを探してみる

前章ではマスクへのニーズを探ってみました。結果、ツイートには“ファッション性”に関するワードが多く、感染予防のためだけではないニーズが定着しつつあることがわかりました。一方で肌荒れに対する悩みが多く見受けられることから、ここにはまだ改善の余地がありそうです。

ファッション性も大事ですが、もしマスク生活がもう少し続くのであれば、肌荒れの改善ができるほうがよりストレスの少ない生活が送れそうです。そこで、マスク肌荒れに関して好評のツイートを見てみることで、肌荒れを改善できている人の具体的な取り組みを捉えてみたいと思います。

  • スキンケアの見直しが楽しい!肌荒れが治ったから別の悩みに目を向けられる幸せ。本当皮膚科のおかげ。マスク生活によるこれまでにない肌荒れでもうだめかと思った。肌荒れに関してはいろいろ試しても無駄な時間と無駄なお金やった。結果的に治るし安いし皮膚科が一番!早く行けばよかった。
  • マスク無し生活で肌荒れ良くなったってみんな言ってる
  • 血色マスクって可愛い色たくさんあっていいよね〜不織布とか口紅つかないタイプとか形も色々で助かる♪インナーマスク使えば肌荒れ対策もできるし♪

ツイートを見たところ、肌荒れを改善できた対策として、“スキンケアの見直し”“そもそもマスクを着けない”“インナーマスクを使う”の3つの意見が代表的なものとして挙がりました。ただ、今回はマスクへのニーズを探ることが目的ですので、インナーマスクに着目してもう少し分析してみたいと思います。

まず、インナーマスクのツイート数は1日30件程度。件数としては少ないものの、一部では有力な解決策として採用されている可能性が考えられます。

インナーマスクについてのツイート数 ※7

そこで、実際のツイートからインナーマスクの使用者がどのような評価をしているのか調べていきたいと思います。今回はツイート数が多くはないため、対象期間のツイートを1件ずつチェックしてみました。代表的なツイートが以下となります。

  • インナーマスクつけ始めてから明らかに肌荒れニキビ良くなってて驚いている
    他にも飲み物ら白湯しか飲まない甘いもの食べないとか気をつけてるけどマスク取った時の赤みが全然違うわ
  • 美容皮膚科の先生に、顎や頬の肌荒れる人は肌に触れるものをシルク素材に変えると良くなると言われて、国産シルクの『インナーマスク』と『枕カバー』に変更。まじでニキビ発生するの激減。肌荒れに悩む人まじで変えて…
    特に枕カバーは元からシルクだったけど国産はまじで違う。全然違う。
  • インナーマスク、写真のようなゴムの違和感はどうしてもあるから、髪の毛を結べない
  • インナーマスクつけ始めて、ゴムが見えたときに何付けてるの?って聞いてくる人がいるんだけど、それもプチストレス……
  • 元々の肌が綺麗な人の中には、マスクが肌荒れの要因になることが分からない人もいる😠

実際のツイートを見てみても、肌荒れが改善しなかったというマイナスの意見は見受けられず、一定の効果があると評価されていることがわかります。一方、インナーマスクのゴムへの違和感について言及されているツイートから、インナーマスクの着け心地やゴムの見た目などが利用における課題になっていることが推測できます。

より詳細な分析は必要になりますが、今回の簡易分析を通して、もう少し続きそうなマスク生活を快適に過ごす上で、”ファッション性”や”インナーマスク活用による肌荒れ防止”、そして”インナーマスクそのものの改善”といったことがこれから話題になる可能性は見えたのではないでしょうか。

まとめ:生活者ニーズをマクロ・ミクロから捉えるTwitterデータ活用

今回は新型コロナウイルス5類移行のタイミングで、マスク生活がこれからも続きそうか、そして続くのであれば生活者がマスクにどんな期待や課題を持っているのかについて、Twitterデータを用いて簡易分析を行ってみました。

Twitter上にはありとあらゆる話題があふれかえっています。大衆で大きく話題になっている事象を捉えることも、一般化していない小さな声もリアルタイムにとらえていくことができます。生活者ニーズをマクロ・ミクロから捉える方法として、ぜひTwitterデータの活用を検討してみてください。


分析対象

  1. マスクについてのツイート量
    キーワード:「マスク」という単語を含むツイート量(フェイスマスク・ヘアマスク・アイマスク・イーロンマスクは省く)
    分析期間:2023/1/14~2023/2/12
  2. マスクを外す、外さないに関するツイート量
    キーワード:「マスク」かつ「外さ 外し 外す 外せ 外そ」のどれかを含むツイート(フェイスマスク・ヘアマスク・アイマスク・イーロンマスク・RT @は省く)
    分析期間:2023/1/14~2023/2/12
  3. 頻出単語ランキング
    キーワード:「マスク」かつ「外さ 外し 外す 外せ 外そ」のどれかを含むツイート(フェイスマスク・ヘアマスク・アイマスク・イーロンマスク・RT @は省く)
    分析期間:2023/1/14~2023/2/12
  4. 頻出単語ランキング
    キーワード:「マスク」かつ「外さ 外し 外す 外せ 外そ」のどれかを含むツイート(フェイスマスク・ヘアマスク・アイマスク・イーロンマスク・RT @は省く)かつ「私 自分」のどれかを含むツイート(フェイスマスク・ヘアマスク・アイマスク・イーロンマスク・RT @は省く)
    分析期間:2023/1/14~2023/2/12
  5. 頻出単語ランキング
    キーワード:「マスク」かつ「オススメ」を含むツイート(フェイスマスク・ヘアマスク・アイマスク・イーロンマスク・RT @は省く)
    分析期間:2023/1/14~2023/2/12
  6. 感性分析対象となる単語ランキング
    キーワード:「マスク」かつ「オススメ」を含むツイート(フェイスマスク・ヘアマスク・アイマスク・イーロンマスク・RT @は省く)
    分析期間:2023/1/14~2023/2/12
  7. インナーマスクについてのツイート量
    キーワード:「インナーマスク」という単語を含むツイート
    分析期間:2023/1/16~2023/2/14

トータル解析サービス「なずき」

なずきのおと

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