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Twitterデータの活用先は無限大?~「スマホレジ」サービスの改善案を検討してみた~

SNSデータ分析は、イベントやプロモーションの効果測定を目的とすることが多いですが、既存サービスの利用促進・改善活動の検討にも活用できます。今回は、Twitter上の全量データ(全Tweet)を解析できるNTTデータのサービス「なずきのおと」を用いて、近年スーパーマーケットで導入が進んでいる「スマホレジ」についての改善案を検討してみました。

Step1|SNSデータ分析を行う目的・方法を明確化する

データ分析はさまざまな目的に応じて活用可能ですが、今回はスーパーマーケットの企画部門を想定して、「スマホレジ」を日常利用しているユーザーの声を分析することで、「スマホレジ」のより効果的な利用促進・改善活動につなげることを目的としました。

ユーザーの声を分析する方法として、今回はTweetデータを収集・分析できるNTTデータのサービス「なずきのおと」を用いることにしました。Tweetデータを対象とした理由は、Twitterは思ったことや感じたことを自ら発信できる場といった性質上、アンケートやインタビューと比較して、よりリアルな声が集められるからです。また、数あるTweet分析ツールの中でも「なずきのおと」は、アジアで唯一Twitter社とOfficial Data Partnerとして契約しているNTTデータだけが取得できる全ツイートに加え、NTTデータ独自の言語処理エンジンによって、日本語Tweetを取り漏らしなく取得できることが強みです。

Step2|解析対象データの抽出条件を検討し、解析を実行する

Tweetデータのようなビッグデータを扱う際には、一般的には解析対象とするデータを抽出するために、抽出条件を設定する必要があります。「なずきのおと」では、抽出対象となる単語「注目ワード」と、抽出対象外とする単語「NGワード」を設定することで解析ができます。では実際の注目ワード・NGワード設定の考え方とその方法を見てみましょう。

<作業1>注目ワードの選定
今回は、「Twitterリアルタイム検索」機能を用いて注目ワードの選定を行います。本機能は、キーワードを入力することで、Tweet件数やTweet本文を瞬時に検索・表示させることができる機能です。そのため、処理時間がかかる解析を開始する前に、Tweet件数やTweet本文の内容を基に効率良く注目ワードの検討ができます。

Twitterリアルタイム検索画面例
①検索条件投入|「AND条件」/「OR条件」/「NOT条件」での検索が可能。
②検索結果(Tweet件数)|日単位/時間単位での全量Tweet件数の表示。
③検索結果(件数チャート)|②の件数をチャート化表示。
④検索結果(Tweet原文)|直近100Tweetについて閲覧可能。(100Tweet以降も表示可能)

まずは「スマホレジ」という単語について、検索をかけてみました。するとTweet件数が平均2~5件/日ほどであり、さらにTweet本文を確認すると「楽しかった!」といった単純な感想や「初めて見た!」といった報告のTweetがほとんどだったため、サービスの利用促進・改善につながるようなTweetを十分量収集できませんでした。

実際のTweetは具体的なサービス名称で投稿されていることが多いため、一般名称である「スマホレジ」では、検索にヒットしなかったことが原因として考えられます。そこで、具体的なサービス名称を特定するために、google検索にて「スマホレジ 比較」や「スマホレジ スーパー」と調べ、スマホレジに対する比較サイトやニュース記事を参考に、実際にスーパーマーケットに導入されているサービスを洗い出しました。その中で、今回の調査では「スマホレジ」サービスを提供している企業の売上(2021-2022年)を確認し、上位5位の中から3つ「レジゴー」「IYマイレジ」「Scan&Go」を注目ワードの対象としました。

また、解析対象とするTweetをより多く抽出するためのポイントが1つあります。それは、生活者が使うワードには「表記揺れ」があることです。今回であれば、「スマホレジ」では「レジレス」、U.S.M.H社の「Scan&Go」であれば、「ScanGo」「スキャンアンドゴー」「スキャンゴー」が考えられます。

そこで、注目ワードとして、「スマホレジ」「レジレス」「レジゴー」「IYマイレジ」「Scan&Go」「ScanGo」「スキャンアンドゴー」「スキャンゴー」をOR条件で設定し「Twitterリアルタイム検索」で検索してみたところ、サービスの利用促進・改善につながるようなTweet を十分量取得できたことを確認したため、これらを注目ワードとしました。

注目ワード設定画面

<作業2>NGワードの選定
次に、NGワードの選定を行います。データ分析目的に沿っていないTweetを抽出対象外とすることができ、抽出データの品質向上や解析時間の短縮に寄与します。そこで、「Twitterリアルタイム検索」にて、先ほど選定した注目ワードをOR条件で検索してみました。すると、大きく分類すると2つのプロモーションのためのTweetが発見できました。1つは、事業者向けのスマホレジサービスの導入を促すTweetで、以下のようなものです。

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もう1つは、生活者向けのスマホレジ専用アプリの利用を促すTweetです。以下にTweet例を取り上げます。

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    注)一部加工し、具体サービス名をマスキングしています

それぞれのTweetから他のプロモーションTweetでも利用されそうな単語を探すと、「初期費用」と「#キャンペーン」といったところでしょうか。妥当性を確かめるために、「Twitterリアルタイム検索」にて、NGワードとして検索しました。すると、他のプロモーションTweetも抽出されなくなったことが確認できましたので、「初期費用」「#キャンペーン」をNGワードとして設定しました。

以上で、解析対象とするデータを抽出するための単語の検討が完了しましたので、90日間のTweet全量を対象に解析しました。(※1)

NGワード設定画面

Step3|解析結果から分析を行う

解析にあたっては、これまで気づいていなかったユーザーの声を分析するため、意外性や関連性のある単語など特徴的な単語が含まれているかどうか、といった観点でチェックしていくことにしました。そこで今回は、「トピック分析」機能を活用しました。「トピック分析」は、解析対象となったTweetに含まれている単語を抽出して、出現ランキングに加え、時系列での推移が確認できる機能です。

ランキングを順に確認していったところ、「エコバッグ」「マイカゴ」という単語と、「混雑」「渋滞」「混んで」という単語が特徴的であると考えました。「エコバッグ」「マイカゴ」について、同じTweetの中で「スマホレジ」とともにどのように語られているのかは気になります。また、「混雑」「渋滞」「混んで」は、レジ待ち時間削減の印象が強い「スマホレジ」において反対の意味を表す単語のため、意外性を感じます。

トピック分析結果画面

まずは、「エコバッグ」・「マイカゴ」に関するユーザーの具体的な声を取り上げてみました。

  • まじで便利やな!商品スキャンしたらすぐエコバッグに入れられるのか!これからずっと使うわ
  • 携帯アプリ使えば、買い物カゴに入れることなくエコバッグにその場で入れれて、スマホレジ専用レジは全然空いてて楽ですよ☺️
  • スマホレジ+マイカゴ、最強すぎですわ、ほんと
    注)一部加工し、具体サービス名をマスキングしています

これらのTweetから、「エコバッグ」「マイカゴ」を使うことで、レジ待ち時間だけでなく買った商品を袋詰めする時間も削減できて便利、というユーザーの声が確認できました。2020年7月よりレジ袋の有料化が始まったため、スーパーマーケットにエコバッグやマイカゴを持っていく方も多いのではないでしょうか。そこで事業者は、「エコバッグ」「マイカゴ」を「スマホレジ」と組み合わせて利用することでさらに時短になるよ、といった「スマホレジ」の活用術をプロモーションしていくということも可能になると考えます。

次に、「混雑」・「渋滞」・「混んで」に関するユーザーの声は以下のようなものがありました。

  • 都会はスマホレジ利用民が多すぎてスマホレジ用決済レジが足りず混雑していた。
  • みんなスマホレジの便利さを知ってしまった結果、中身確認場所が1個しかない事による渋滞が起きて、結果的に普通のレジの方が早くなってしまう
  • スマホレジ操作の方法に慣れないおばちゃまがたと決済にもたつくおばさんのせいで、スマホレジ専用レジだけ混んでる
    注)一部加工し、具体サービス名をマスキングしています

事業者はレジ待ち時間の削減といった「スマホレジ」のプロモーションを行っている一方、実際には「スマホレジ」の方が混雑してしまっている、というユーザーの声が確認できました。これらのTweetを見る限り、混雑の原因としては、専用レジが不足していること、店員が商品を照合する盗難防止策に時間がかかっていること、そもそも「スマホレジ」に慣れていない生活者がある程度いることなどが分かりました。このように、ユーザーの不満の声を日常的に拾うことで原因を特定し、改善を検討していく、ということも可能になると考えます。

まとめ

「スマホレジ」について、日常利用しているユーザーの声を拾い、これまで気づいていなかった問題点・改良点を見つけ、利用促進・改善活動の案を検討するとともに、「なずきのおと」を基にデータ分析の具体的な進め方をご紹介しました。

今回は「なずきのおと」を用いて日本語全量Tweetのデータを分析しましたが、データ分析の目的によって、解析対象とするデータや用いるツール、プロセスは異なってきます。生活者のホンネに近く、サンプル数の多いTweetデータはさまざまな目的に応じた活用が可能だと考えています。ぜひ活用をご検討いただければと思います。


(※1)分析対象

抽出条件
キーワード:(“レジレス” OR “スマホレジ” OR “IYマイレジ” OR “scan&go” OR “scango” OR “スキャンアンドゴー” OR “スキャンゴー”) NOT (“初期費用” OR “#キャンペーン”)
分析期間:2022/10/25~2023/1/23

トータル解析サービス「なずき」

なずきのおと

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