編集日記

Twitter全量データで調べてみた M-1グランプリ2022で密かに評判を上げたコンビとは?

ABC・テレビ朝日系漫才日本一決定戦「M-1グランプリ2022」はウエストランドの優勝で幕を閉じました。一方、優勝の陰でひそかに世間に爪痕を残したコンビがいるはずです。そこで今回の記事では、Twitter全量データを活用し、Twitterユーザーから見た評価や今後影響力が出そうなコンビを分析してみました。

M-1グランプリ2022当日の各コンビの話題量

まずはM-1グランプリ2022の決勝時、各コンビがどのくらい話題になったのか調べてみました。決勝10組の各コンビ名を含むツイートを基に、ファーストラウンドと最終ラウンドそれぞれ、Twitter上で最も話題(ツイート)が増えた10分間のツイート件数を見てみることにしました。

最初に、ファーストラウンドの話題量を見てみましょう。

番組開始前~ファーストラウンド

ファーストラウンドにおいて一番盛り上がりが大きかったのはさや香でした。ファーストラウンドを1位で通過しているだけあり、Twitter上でも盛り上がったことがうかがえます。

第2位は実際の順位が7位だったオズワルドでした。オズワルドは近年決勝常連だったにもかかわらず、今年度は準決勝敗退し、敗者復活を狙っていました。敗者復活では2位の令和ロマンと12万票差をつけて1位となり、これまでの実績も踏まえて期待の声が大きかった結果でしょう。

そして、実際のファーストラウンドの結果と上記の結果を比べた表がこちらです。

ランキング結果を比較してみると、先ほどのオズワルドの順位差に加えて、ヨネダ2000の話題量が実際順位2位だったロングコートダディとそれほど変わりがない点と4位の男性ブランコよりも5位の真空ジェシカのほうが話題量が多い点が気になりました。

次に、最終ラウンドの話題量を見てみましょう。

最終ラウンド~

最終決戦に進出したのはさや香、ロングコートダディ、ウエストランドの3組です。その中でさや香とウエストランドの話題量が飛びぬけて多いことが分かります。実際の最終決戦はウエストランド6票、さや香1票という結果でしたので、ウエストランドのほうが話題量多くなっていますが、さや香も同時間帯に多くつぶやかれている印象です。

ウエストランドは近年減少傾向にある毒舌漫才、対するさや香はいわゆる正統なしゃべくり漫才。毒舌が苦手など好みの差により「さや香が良かった」という声が一定数あったことがこの話題量を生んでいると思われます。

ファーストラウンドと最終決戦を通して、GYAO!三連単予想(上位3位に入るコンビを予想してTwitterで投稿するキャンペーン。応募総数330万以上。)では人気があった男性ブランコやロングコートダディの話題量が他のコンビと比べて伸びていないことが意外でした。

注目コンビはどんなことが話題になったのか

最終決戦には残れなかったものの、最終決戦組と同等の話題量を生んだ真空ジェシカとヨネダ2000。ヨネダ2000はM-1グランプリ2022と同時期に開催されていた女性だけのお笑いコンテスト「女芸人No.1決定戦 THE W 2022」でも決勝に進出、そして真空ジェシカも2021年に初めてM-1グランプリの決勝に進出してから少しずつテレビでも見かける機会が増えていました。

そんな少しずつ注目され始めていた2組が今回のM-1グランプリ2022ではどのように話題になっていたのか、笑御籤(えみくじ)を引かれコンビ名が呼ばれたタイミングから10分間の各コンビ名の入ったツイートを基にどのようなキーワードがつぶやかれていたか分析してみました。

真空ジェシカ

コンビ名の後にポジティブなワードが続いている投稿が多くみられます。「真空ジェシカ去年」というキーワードを含むツイートを詳しくみていくと、「去年に比べて面白くなっている」というような1年での成長を感じた視聴者の感想が見られました。また、「つかみ」「世界観」「ワードセンス」と言った単語が入っていることから、真空ジェシカのお笑いのポイントやコンビの特徴が視聴者に伝わったことが話題量につながっていると考えられます。

ヨネダ2000

まず、ネタ中に登場した「餅つき」「DA PUMP」が話題量としては多かったようです。餅つきの流れからのUSAダンスは後日DA PUMPご本人たちが真似するなど話題になりました。

「評価」「漫才」というキーワードを詳しく見てみると、「漫才なのかどうか評価が分かれそう」という印象が強かったようです。その一方、「爆笑」「涙」「衝撃」「ツボ」という強い言葉が並んでいることから、ヨネダ2000特有のネタがツボに入った人たちも多くいたことがうかがえます。また、「評価」という言葉に関しては「数年後にすごく評価されそう」という前向きなコメントも見られました。

「楽しみ」「期待」「応援」というキーワードに関しては、笑御籤でコンビ名が呼ばれたときに増えただけでなく、漫才が終わった後に「今後に期待」「応援したくなった」と言った声としても多く挙がりました。これは、M-1グランプリで初めてヨネダ2000を見た視聴者からの今後への期待の声だったと推察されます。

Twitterユーザーが採点するとどのような評価になるのか

今回に限らず、M-1グランプリでは「1人だけ点数が高い/低い」「この審査員は好みの差が激しい」「絶対〇〇のほうがおもしろかったのに」「〇〇のネタは漫才じゃない」など採点やネタに対して何かしら議論が起こります。では、Twitterユーザーが今回のM-1グランプリ2022を採点したら、どのようになるのでしょうか。

ファーストラウンドに関しては、全体的に点数が低めということ以外はランキングにそこまで大きく差が出る結果にはなりませんでした。

前章での分析ではヨネダ2000と真空ジェシカの話題量が多かったため、その影響からTwitterユーザーの平均点が上振れするのかと思いましたが、他のコンビと大きな差はない印象です。個人で採点をつけながら見ているようなお笑いコアファンは、話題性に流されず冷静に評価をしているのかもしれません。

また、最終決戦については点数ではなく3組のうち最もよかったコンビに票を入れるスタイルのため、点数ではなく公式ハッシュタグとともに「〇〇が優勝だと思った」という内容を含むツイートをランダムで抽出し、ランキングを集計しました。

件数が少ないため厳密な評価は難しいものの、Twitter上ではほぼウエストランドとさや香の一騎打ちで、さや香が優勝だと思ったユーザーが多かったという結果になりました。実際に優勝したのはウエストランドでしたので、Twitterユーザーの評価とは異なる結果だったと言えます。

具体的なツイートを見てみましょう。

【さや香派】

さや香についてはネタの内容を評価したり、これまでの経歴などを踏まえて応援したりする声が多くみられました。また、「漫才か漫才じゃないか問題」を気にしている方は、正統派漫才であるさや香を高く評価している印象でした。

【ウエストランド派】

ウエストランドについては勢いや毒舌漫才を評価する内容が多かったです。また、ネタ中で「M-1アナザーストーリー(年末に放送されるM-1グランプリ決勝の舞台裏や各コンビへの密着番組)がウザい」と主張していたことから、優勝してM1アナザーストーリーにてメインで取り上げられる姿を見たいという期待も含めた声も上がっていました。

余談ですが、同時間帯にロングコートダディと同じくらいの件数「優勝」といわれたコンテンツがありました。優勝発表前に流れた日清食品「どん兵衛」のCMです。キングオブコント2022王者の空気階段を起用した高須クリニックのCMのパロディなのですが、最後まで高須クリニックのCMだと錯覚するくらいハイクオリティでした。「今日一番笑った」「よく高須クリニックが許可したな」などM-1を見るお笑いファンにも強烈な印象を与えたようです。

今回、Twitter全量データを利用してM-1グランプリ2022における話題の大きさや内容を分析しました。その結果、最終順位だけでは見えてこなかった、「密かに話題になったコンビ」がどのような内容で話題になっていたのかを見ることができました。また、ユーザーによる採点結果を見ることで審査員との傾向の差も見ることが出来ました。

また、今回はM-1グランプリ2022の決勝に焦点を当てて分析しましたが、数か月後の話題量や内容を分析することで、思わぬ方向でバズっている様子やユーザーにどのような印象を抱かれて活躍の場を広げているかの観察ができるのではないかとも思いました。


分析対象

  1. 各コンビの最も話題が増えた際のツイート件数
    抽出期間:2022年12月18日16時~12月19日0時(10分間隔)
    対象データ:コンビ名を含むオーガニックツイート
    ※対象にしたコンビは決勝に進出した下記10組
    カベポスター/真空ジェシカ/オズワルド/ロングコートダディ/さや香/男性ブランコ/ダイヤモンド/ヨネダ2000/キュウ/ウエストランド
  2. 注目コンビの話題分析
    抽出期間:各コンビの出番確定時から10分間
    対象データ:コンビ名を含むオーガニックツイート
  3. Twitterユーザーによる各コンビの採点分析
    抽出期間:ファーストラウンド:2022年12月18日~12月19日
                  最終決戦:2022年12月18日21:55~22:05(優勝決定直前まで)
    対象データ:ファーストラウンド:「M-1またはM1を含む」かつ「個人または素人または勝手に を含む」かつ「採点または得点を含む」オーガニックツイート
                   最終決戦:公式ハッシュタグを含む、かつ「優勝または確定/間違いない/だと思うというような主張を表す表現を含む」オーガニックツイートからランダムで400件サンプリング

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