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ビジネスデザインスプリント、日本ナレッジ・マネジメント学会の研究部会で紹介!

2021年3月、日本ナレッジ・マネジメント学会 知の創造研究部会にて、「ビジネスデザインスプリント(BDS)に関する実践事例」というテーマでデジマイズム編集長でもある小木曽さんが発表しました。BDSの「アジャイル的に新規ビジネスを創出できる」考え方が学術的にも興味深いとの評価を頂き、発表させていただく運びとなりました。本記事では、発表内容を通して、BDSの実践例やBDSを軸としたナレッジ・マネジメントの取り組みを掘り下げます!

【講演者】

小木曽 信吾
株式会社NTTデータ ITサービス・ペイメント事業本部 SDDX事業部 マーケティングデザイン統括部 デジタルマーケティング担当 課長
NTTデータ入社後、基盤エンジニアとしてECサイトなどフロント系システムの構築・運用に従事。その後コンサルタントとして、流通、サービス、製造、テレコムなどの業種を対象に、主にテクノロジーを活用した新規サービス創出コンサルティングに10年ほど従事した後、現職へ。現在は流通・サービス業のお客さま企業のマーケティング領域のデジタル変革や新規サービス創出支援に取り組むと共に、ビジネスデザインスプリント開発などのサービスデザイン人材育成や、デジマイズム編集長として自組織のマーケティング強化にも取り組み中。

日本ナレッジ・マネジメント学会 知の創造研究部会とは

知の創造研究部会は日本ナレッジ・マネジメント学会の研究部会のひとつです。

先進企業における知の創造がどのような要因や条件により促進されるのかを実践事例などより明らかにすることを目的に、イノベーションや知の創造の最先端にいる企業の実務家や研究者が集い、毎回複数の報告者も交えて活発な講演・質疑討論やダイアローグを展開しているとのことです。

知の創造研究部会
http://www.kmsj.org/wp/wp-content/uploads/2020/05/20200515_2.pdf

ビジネスデザインスプリントも、NTTデータ有志のボトムアップから生まれたものであることや、その考え方のユニークさに興味をいただき、知の創造研究部会に参加しているNTTデータ社員からの推薦で今回の発表に至りました。

BDSの成り立ちと背景

今日、新型コロナウイルスの影響もあって、DXがますます注目されていますが、DXにおいて最も重要なことは何でしょうか。それは「これまでに無いユーザーへの提供価値」を創り出すことです。「これまでに無い」とは、それを見つけ出す上での不確実性が非常に高いということです。不確実性が高い状況でユーザーへの提供価値を創り出すことは難易度が高く、ビジネス企画をしている方は日々頭を悩ませているのではないでしょうか。

そのような方々の救世主となるよう開発したものが「ビジネスデザインスプリント(BDS)」です。BDSとは、普通の会社員が自らのビジネスアイデアをアジャイル手法的にブラッシュアップできる”ドリル”です。特にビジネス企画の初期段階において、今考えるべきことがクリアになり、クイックにアイデアの良し悪しを見極められるようになるものです。

BDSの基本構造

BDSの基本構造は、企画者の考えを深めるための問いかけを「4つの視点」、「8つの検討ポイント」、そして「25つのキークエスチョン」に整理しています。これらの問いかけによって、企画者自身の考えを深めてもらうことをねらいとしているため、”ドリル”と呼んでいます。そして、各々の問いかけをビジネスプランとして一つにまとめるのが「オリジナルピッチ」となります。

まず4つの視点と8つの検討ポイントです。

ビジネスデザインスプリントの4つの視点

ビジネスデザインスプリントの8つの検討ポイント

4つの視点と8つの検討ポイントは、ビジネス・サービス・システムの各レイヤから以下のように整理することができます。各検討ポイントは相互に影響し合うものなので、ひとつのビジネスプランとして一貫しているかが重要です。

4つの視点と8つの検討ポイントの関連性

キークエスチョンの一例を見てみましょう。検討ポイント「課題仮説」には、下図のように3つのキークエスチョンが設定されています。キークエスチョン自体は非常にシンプルですが、考えるための観点やTips、事例を駆使しながら、まずは粗くても良いのでこの問いかけを解いていきます。

ビジネスデザインスプリントのキークエスチョン例

最後に、今まで明らかにした4つの視点、8つの検討ポイント、キークエスチョンを基に、オリジナルピッチフォーマットを使ってビジネスプランを1ストーリーにまとめてみましょう。1ストーリーにすることで、それぞれの検討ポイントが整合したビジネスになっているかを検証できます。そして、そのビジネスプランが継続検討していく価値があるのか、企画者自身が考えることが重要です。

ビジネスデザインスプリントのオリジナルピッチフォーマット

BDSについてさらに詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

テキストは⾃動で⽣成されます

テキストは⾃動で⽣成されます

テキストは⾃動で⽣成されます

実践例と利用者の声

実際にNTTデータ内でビジネスプランを検討した際のピッチフォーマットを見てみましょう。店舗の棚の商品欠品を自動検知するサービスを検討した際の実践例です。

ピッチフォーマット例(棚欠品検知サービス)

このように4つの視点、8つの検討ポイント、キークエスチョンを明らかにすることによって、自身のビジネスアイデアを1ストーリーで語ることができます。また、この内容で完成ではなく、「継続検討する価値があるか?」「継続検討するならどこを具体化する必要があるか?」を考え、繰り返しBDSを用いてブラッシュアップすることが、「アジャイル的な新規ビジネス創出」に繋がります。

BDSを活用した社員や、BDSをベースにビジネスプランを審査した社内幹部からも、下記の通り好評の声をもらっています。

・実践した社員の声

  • アイデアを深堀する際に本当に解決すべき課題は何か?と考え直すことができた。
  • BDSの体系がざっくりしていてビジネス創出しやすかった。
  • これまでは技術の実現性ばかり考えていたが、技術以外の観点も具体的に考えることができるようになった。
  • ピボットがしやすくなった。どこを変えればビジネスプラン全体がどう変わるのかイメージしやすくなった。
  • 企画の進め方が全く分かっていなかったが、BDSによって「できる!」という実感が増した。

・審査者(社内幹部) 

  • 企画者が出してくるビジネスプランの質・速度が明らかに高まった。
  • 企画者と目線を合わせながら講評が行えるようになり、企画者と具体的な議論がしやすくなった。
  • 今指摘すべきことかどうか、この指摘は重要かどうか、という点がクリアになった。

また、当社内の新規ビジネス創出への活用に留まらず、お客さま企業との共創ワークショップや人材育成施策としても活用いただいています。

例えば、ある製造業のお客さま企業との共創ワークショップでは、「次世代サービス共創」をテーマに複数のアイディエーションツールと組合せ、BDSをアイデア収束手法として活用していただきました。そのワークショップの参加者からは「BDSを土台にアイデアを深く議論できブラッシュアップできた。」、「発散フェーズでは見通しが見えなかったが、BDSで一気にビジネス企画として形になった。」との評価をいただきました。さらに、別のお客さま企業では、BDSをきっかけに実際にサービスのローンチに至った事例もあります。

BDSコミュニティによるナレッジの深化

現在、BDSを中心に、NTTデータ社内の新規ビジネス創出ナレッジを深めていくため、各部門で新規ビジネス創出に取り組んでいる社員が横断的にナレッジ交流できるオンラインコミュニティを設立しました。現在(2021年5月末現在)、190名を超える社員が集い、新規ビジネス創出に関するさまざまなテーマで活発に意見交換が行われています。

コミュニティを活発にしていくために、オンラインの特性を活かしたインタラクティブな学びの共有の場を設けたり、関連するニュースや書籍の情報を交換したり、自身のビジネスアイデアのブラッシュアップやヒアリングの場に使ったりと、参加者それぞれが自分のやりたいことや目的に合わせて自由・オープンに活用することで、お互いに知的な刺激を受ける場となっています。

コミュニティを運営する立場としては、こうした活発なナレッジのやり取りを下図のようなサイクルにすることで、個人と組織が成長するような仕掛けとしていく考えです。

BDSコミュニティにおけるナレッジ深化のサイクル

今後のBDSの展開としては、より本質を捉えられるようなキークエスチョンの磨きこみや、キークエスチョンを解くための Tips・ツール充実など、内容の高度化に取り組む予定です。また、BDSにて生み出されたビジネスアイデアを事業化できるよう、PoCや事業計画との連携を高めたいと思っています。

さらに対外的な活動としてNTTデータ以外でも積極的にBDSを活用いただけるよう、デジマイズムを通じた情報発信やオンラインツールの整備にも取り組んでいます。

学会参加者の声&講演者の感想

今回の講演について、日本ナレッジ・マネジメント学会の関係者からは、「ビジネスアイデアを収束させる手法・考え方は、多くの専門家の先生や学会の参加者に新たな視点を発信できたとともに、NTTデータの取り組みのオリジナリティを主張できたのではないか。」とのお声をいただきました。

また、「新ビジネス立ち上げの人材育成は重要な議論なので、その点を詳しく聞きたかった。」、「DXでめざす価値を関係者全体で合意形成し、これをめざすサービスを作る。その中で、(ウケる、儲かる、勝てる)という検討と作りこみがある方が、経営者として自然だと思う。」などのコメントもいただきました。

今回講演した小木曽さんに感想を聞いたところ、「誰しもが新規ビジネス創出に取り組むようになってきた昨今、BDSは初心者でも手に取れるように、自分たちの経験や失敗をまとめようと考えたものでした。そういった現場目線のドリルが、日本ナレッジ・マネジメント学会のような権威ある団体に評価いただけたことは大変嬉しく思います。また、NTTデータ外でもBDSを活用いただければと思っていたタイミングで今回の講演の機会をいただけたことも、大変感謝しています。」とのコメントがありました。

今後、BDSによって画期的なサービスが次々と生まれることで、一人の生活者としてより良い暮らしとなる未来が訪れればいいなと思います!BDSのこれからの進化や活動、ぜひ引き続きご注目ください!

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