
テクノロジーによる今後のマーケティングの変化とは?アドテック東京2019レポート②
前回に引き続き、アドテック東京2019の様子をお届けします!
今回は、いくつかのセッションを通じて、今後のマーケティングを考えるうえで重要になりそうなトピックをまとめてご紹介します。
お客さま主導の時代、キーワードは”信頼”
今回のアドテックの数あるセッションから、まず共通して見えてきたのは「信頼」というキーワード。
セッション「新時代のEコマースプラットフォーム」では、「現代は消費しきれないほどの情報があふれており、自然と知った知人友人の第三者の情報を重視する時代になっている」(株式会社電通デジタル 東條 周子氏)という話があがっていました。ここで重要なことは、「まったく知らない第三者」ではなく、友人や知人、もしくはお気に入りのインフルエンサーといった、「信頼のおける第三者」であることです。
また、こうした流れの一歩先を歩んでおり、この先を考える上で興味深かった事例が、中国の事例です。
株式会社bolome 代表取締役 水野 裕哉氏は、ECについて
・モノ軸 EC … 商品(モノ)の信頼性によって買われる
・ヒト軸 EC … 推奨するヒトの信頼性によって買われる
の2種類があるとし、「中国は『ヒト=インフルエンサー』軸のECが進んでいます。例えば、中国最大のSNSであるweiboのインフルエンサーは、タオバオ(注1)で自分のショップを持っている人が多く、そのショップでの購入まで促します。中国人によくみられる爆買いも、信頼できる第三者へ依頼して購入してもらう、代理購入である場合が多くあります。」と言います。
注1)アリババグループが運営する中国の最大手ECサイト
日本でも、これまでは、「良い口コミが多い商品/サービスは信頼できる」と、単に第三者の評価を多く集めることで信頼を得ることができました。ところが、ステルスマーケティングやサクラが増えたことにより、口コミを集めるだけでは信頼を得ることが難しくなってきています。最近はYoutuberやインスタグラマーなどがおススメする商品/サービスが支持されることが増えていますが、同時にその人となりも評価されるようになるなど、「商品/サービスが信頼できるか?」という評価(Review)以上に、「第三者が信頼できるか?」をお客さまが厳しく評価(Review)するようになってきました。
中国の事例と同様に、企業としてはお客さまがどのような人かを正しく理解することによって、そのお客さまが信頼している第三者を見極めるアクションが必要になると考えられます。
“リアルな場”はやはり、強い
もう一つ、多くのセッションで共通して語られていたことは、「リアルな場」の重要性でした。昨今、ECでどのように売り上げを伸ばすか?については、どの企業にとっても当たり前の重要テーマだと思いますが、一方で「リアルな場」への期待の大きさを感じることができました。
セッション「もはやオンラインだけではない・次世代型ECの活用」では、「ECでスモールスタートしても、やはりいずれはオフライン店舗に出ていくメーカーが多いのは、その影響力や購買規模が圧倒的だから。ショールームの場としても、カスタマーへの強力なアプローチができ、お客さまの生の声を聞くことができる」と登壇者は口をそろえていました。やはりECが発達しても、オフライン店舗が担う役割はすぐには衰退しないようです。
とはいえオフライン店舗の課題は、「お客さまが何回来店したのか?」「誰がきたのか?」という情報を取得するのが難しいところ。そのひとつの方向性が示されたのが、セッション「キャッシュレスな世界が我々にもたらすもの」でした。
このセッションでは、2019年急激に成長したPayPayについて「決済という“面”でデータを取得することで、リアルな場をおさえにかかっている」(ヤフー株式会社 取締役 専務執行役員 最高執行責任者 小澤 隆生氏)と語られるなど、オフラインの購買情報やお客さま情報をいち早く把握し、マーケティングに反映させることが勝敗を左右するという考えが、共通認識として議論されていました。さらに、オフラインのデータをEC(オンライン)のデータとも繋ぎ合わせることで、より深くお客さまを理解し、より良い商品/サービスや購買体験を生み出すことも重要であると考えます。
編集後記 テクノロジー×リアルでマーケティングを進化させる
「リアルな場」の強さについては、オフライン店舗がもともと持っている「影響力」「購買規模」に加え、テクノロジーの活用による「オフラインの購買行動データ」という新たな強みから、どの企業もオフライン店舗の新たな可能性に大きな期待を寄せていました。また、お客さま側としても、オフライン店舗は「オンラインでは得られない実体験を伴う、商品/サービスとの出会い・コミュニケーションの場」であることから、オフラインでの買い物ニーズはまだまだ強いものと思われます。
また、前段のトピックである「ヒトの信頼性」をもう少し広く捉えると、「コミュニケーション手段の信頼性」とも言えると思います。オフライン店舗を通してお客さまを深く理解し、その理解に基づいてお客さまの信頼を高めるコミュニケーションの場としても活用することが、今後の企業のマーケティングのあり方として重要であると感じました。
NTTデータでも、こうしたマーケティングの変化を踏まえて、オフライン店舗でお客さまの情報を取得するためのサービスや、お客さまをより深く理解するためのソリューションをご用意しております。
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※トライバルメディアハウスは、NTTデータのグループ会社であるネットイヤーグループの子会社です

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