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2020年デジタル店舗の現在地。ニューヨークの先端デジタル店舗に行ってきた! 【前編】

私たちSDDX事業部では、世界のリテール動向を自ら確かめるため、年数回の海外現地調査を行っています。今回は、2020年1月にニューヨークで行われた世界最大規模のリテールカンファレンス「NRF 2020:Retail’s Big Show」への参加と併せて、現地デジタル店舗の2020年の現在地を探ってきました。ニューヨークのど真ん中、マンハッタン周辺の店舗から少し離れたブルックリンの店舗まで、スーパーマーケット系、百貨店系、専門店系、番外編と幅広く前編・後編に分けてダイジェストで紹介します!

スーパーマーケット:利便性追求のデジタル活用は着実に定着へ

#Amazon Go:「デジタル外」のサービス性にも磨き


かの有名な、全米最大のECサービスを提供するAmazonが出店したリアル店舗。2018年1月の1号店オープン以降店舗数を増やしており、2020年3月時点で20店舗を超えています。スマホアプリのQRコードで入店、選んだ商品を持ってゲートをくぐればレジなく会計が完了するサービスです。

店舗サイズはコンビニくらい。サラダやお菓子、ドリンクバーなどの品揃え

今回私たちが注目したのは、デジタルの部分ではなく、従業員の対応です。例えば入店時、入口にいた従業員が、「分からないことがあれば教えるよ、ダウンロードからなんでも聞いてね」と優しくフォローしてくれます。新しいテクノロジーの導入を従業員がサポートする、と言葉にすると簡単なようですが、従業員自身もデジタルサービスの目的や仕組みを理解し、お客さまに利用してもらいたいと考えているからこそ、トータルでの顧客体験が高まっていると感じました。

オレンジ帽をかぶった従業員が優しく丁寧に質問に答えてくれる

#Wegman's:セルフレジは工夫の余地あり。ピックアップは大人気

有人レジ以外にもセルフレジがいくつか用意されている

ニューヨークを中心に展開するスーパーマーケットチェーン。提供されていたself checkoutは、スマホアプリで購入したい商品をスキャンし、セルフレジでスマホと連携(バーコード読取)することで、支払いが完了する仕組みです。

 スマホアプリで商品を読み取っているので、そのままアプリ内で決済までできそうですが、万引き抑止などの観点からセルフレジを使うような設計になっているようです。お客さまにスキャンさせるという点も含めて、セルフレジは使いどころ(業態や商圏)や、それに応じた顧客体験の設計に工夫が必要だと改めて感じました。

 一方、スマホで事前にオーダーし、店内でピックアップするサービスは、多くのお客さまが利用しているようでした。実際に、私たちが視察した土曜日夕方の混雑時には、取り置きしている商品が50セット以上は確認できました。受取専用カウンター付近の警備員さんから「オーダーしていない人は触れないで」と注意を受けてしまったので、中身までは分かりませんでしたが、冷蔵庫にも取り置き商品が並んでいる様子から、冷蔵品オーダーにも対応しているようです。

百貨店:店舗と連動したデジタル活用には、各社で濃淡あり

# Macy's:「もったいなさ」が目立つデジタル活用


ニューヨークに本部を持つ超有名百貨店。広い店内で目立っていたのは、商品ラックに貼ってある「xx%OFF!」のPOP広告の多さと、据え置き端末で各商品のタグ(バーコード)をスキャンするお客さまの多さでした。

据え置き端末でスキャンすると、その商品の割引後の価格が分かります。実は、POP広告の表示と実際の割引率が異なるケースがあるため、そのことをよく知るお客さまは端末で価格を確認しているとのこと。据え置き端末は、従業員が割引価格タグを付ける作業を補完するものと思いますが、アナログなPOP広告との整合性の無さや、割引価格の確認に要するひと手間は、お客さまにとってストレスになっているように感じました。

据え置き端末。各商品のタグを読み込むと、割引が反映された価格が表示される

また、Macy'sのスマホアプリで商品タグをスキャンすることで、オンラインで商品購入も可能です。店内で大きい商品を持ち歩く必要がなくなることで店内滞在時間が増え、売上増加につながっているとのこと。ただ、アプリのお知らせはあまり目立たない場所にありました。お客さまから見て利便性が高く、自社の売上にもつながるサービスが十分訴求されていない点はもったいない印象でした。

# Nordstrom:嗜好品でもピックアップサービスが人気!


全米でも有数の大型高級百貨店。オンラインで商品購入し、店舗で受け取るモバイルピックアップは、1日あたり150300件ほど利用されているとのこと。前述のWegman'sのように、スーパーマーケットのような日用品だけでなく、百貨店のような嗜好品の多い業態でもピックアップサービスに人気があるのは意外でした。実際の店舗を回遊するよりも、オンラインで商品を比較検討し、都合の良いタイミングで受け取れるほうが良い場面が思ったより多くあるようです。また、節約できた時間を使って他のお買い物をしたり、食事の時間を長く取ったりすることで、店舗での楽しみにより多くの時間を割けることも、支持されている理由かもしれません。

モバイルピックアップ用の商品ラックに置かれている自分の商品を従業員から受け取る仕組み

ちなみに、商品の店頭返品も可能ですが、従業員の感覚的には5%以下程度と少ないようです。ピックアップ用の試着室が設けられていることで、モバイルオーダ後のサイズや色のイメージ違いから返品されてしまうことを防ぐ仕掛けがあるのも、利用者の購買体験に寄り添ったサービス設計になっています。

前編まとめ

スーパーマーケットに関しては、Wegman’sのように、購入点数の少ない人向けにセルフレジ、目的買いの人向けにはオーダーピックアップサービス、とお客さまの目的に合わせて複数のデジタルサービスを提供し、利便性を追求している現状が見えました。また、スムーズな購買体験を後押しするために、Amazon GoWegman’sどちらも従業員のデジタル教育・浸透がしっかりと行われていることも印象的でした。

百貨店の場合は、Macy’sNordstromでは全くデジタル活用の方向性が異なっているのが印象的でした。ただ、Nordstromのように、お買い物本来の楽しみを阻害する要因をデジタル活用によって取り除く、というアプローチは今後より進展していくのでは、と可能性を感じました。

前編では「スーパーマーケット系」と「百貨店系」の店舗視察を通して、デジタル活用が進んでいると言われているニューヨークのリアルな現在地をお届けしました。次回の後編では、「専門店系」と「番外編」をお届けしますので、こちらもご期待ください!

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